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後手、後手の日本政府

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武漢からの帰国者を巡って、色々な意見が飛びかっている。医療の専門家でも、隔離すべきと言う人、隔離の必要なしと言う人、その真ん中が良いと言う人。三者三様である。外国の真似をする必要はないとも思うが、フランスは軍の基地に二週間隔離。アメリカは当初、一般の空港に着く予定であったが、軍用の空港着に変えている。まず、アラスカの基地に降りて検査。その後カリフォルニアの軍用基地に、と二段回で対応。長くて二週間の隔離を示唆している。

日本政府はどうして、始めから「隔離」の方針を打ち出さなかったのか、不思議である。潜伏期間は二週間と言われているから、飛行機内での検査で仮に症状がなくても断定はできない。二百六人の内、自発的に「隔離して欲しい」と言われた方たちが百四十人いたそうで、その方たちの気持ちは理解できる。その要望には対応しているが、後手に回った感は否めない。

大体、「今のところ、大丈夫(見たい)ですよ。」と当座の検査で言われてもなんの保証もない。お家へ帰って、家族に移さないとも限らない。「二週間は外出しないで下さい」と自己管理に任せて、外に送り出すのは、帰国者の方にも日本在住の人たちにも無責任な対応のような気がする。

チャーター機を飛ばすことは割に早く決断して、日本政府にしては良くやったと思っていたが、そのあとがはっきりしない。八万円を請求することはやけに早く決まったようだが、もっと、大事部な分に手抜きを感じる。

「帰国者に親切に」という意見も出ているが、科学的な根拠から「隔離」をしてもらうのは、別に意地悪や嫌がらせではない。水際の対応が重要なのだ。

ブリティッシュエアウェイはすべての中国便を凍結。その他、ユナイテッド、ライオンエアー、キャセイパシフィックも規制を打ち出した。日本の航空会社がどのような手を打っているのか分からないが、こちらも後手後手にならないよう、決断すべきと思う

女性専用車両は差別か?

電車内での痴漢被害などから、女性専用車両を導入している鉄道会社が多いそうである。私は大変結構なことと思ったが、「(女性)専用車両を『男性差別』と訴え廃止を求める動きも根強く」(毎日新聞の記事より引用)あると言う。また、テレビでも「女性専用車両に乗りたくない女性を取り上げる特集が相次いで放映された」(同記事より引用)

まず、差別の問題。私は小学生の頃、地下鉄丸の内線の池袋発が最後の車両を子ども優先にしたことを憶えている。少なくとも、茗荷谷駅まではそうであった。

地下鉄丸の内線が池袋からお茶の水までしか運行されていなかった頃から、その地下鉄に乗って小学校に通った。毎年(と思うが)路線は延長され、毎年混み具合がひどくなった。路線がどこまで伸びていたのか分からないが、背広を着た男性ばかりという感じになり、小さい私は四方を高い壁に囲まれで、息苦しかった。

それだけではない。茗荷谷駅(池袋から二つ目)で降りるという単純な行為が、単純ではなくなった。「降りまーす」と声を上げ、大人の間をかき分け、おそらく周りの気の毒な人たちにランドセルをガチガチぶつけながら、突き進む。時には親切な大人が押してくれたり、引っ張り出してくれたりして、やっと降りた。

茗荷谷駅近辺には学校が多い。区立、私立、国立とあり、地下鉄で通う子どもも多かった。で、しばらくの間、子ども専用というやり方が対応策となっていたように思う。では、これは、大人に対する差別になるのであろうか。記憶が曖昧でどれだけの期間、その「サービス」を受けていたのかは憶えていない。

女性専用車両に関しては、私は「いいじゃないの、全車両を朝から晩まで女性専用にしているわけじゃなし、また、『私は男女混合でもいいわ』という女性が専用に乗らなくたって、それも目くじら立てるほどのことじゃないんじゃない?」と思うのだけれど、そういう「安易」な態度は許されないんだろうか。今までも、また今でも、多くの場面で女性が差別されて来たことを考えると、痴漢問題に対する現実的、実際的な対応策として、そのくらい女性に親切にしても構わなくない?

アメリカで、障害者専用の駐車場を巡り、信じられないような事件があった。事件が起きた時、駐車場には空きが二つ。一つは障害者用。もう一つは一般用である。健常者が一般用に駐車しようと車をその方向に移動していたら、障害者のライセンスプレートを付けた車が一足先に一般用に駐車してしまった。

障害者は一般向けに駐車しても法律違反にはならないが、健常者が障害者用に駐車すれば法律違反。罰金を課せられる。上記のケースで一つ残っている駐車スペース(障害者用)には健常者は駐車出来ない。

「あんたが障害者用に停めれば、俺は一般用に停められる。なんて、嫌がらせなんだ」と口論になり、挙句、健常者が銃を取り出して障害者を撃ったのである。(上、左の写真は障害者専用の駐車スペースを示すもの。違反者はレッカー移動され、罰金は最大250ドル((約2万7千円))と書かれている)

「女性専用車両に乗らない女性がいることで、一般車両が混み、座れない男性がいる」(同記事より引用)というネット投稿の発想は、アメリカの事件に似ている。ただ、決定的な違いは、女性専用車両は男性を占め出してはおらず、男性が乗っても罰則はない。さらに、小学生以下、障害者とその介助者もオーケーである。

女性専用車両については、テレビの特集で「『女性専用車両はトラブルが頻発して『戦場と化している』と指摘。『専用車両には乗らない』という女性が取材に対し、『化粧の匂』や『スペースの奪い合い』を理由に挙げた」と毎日の記事は書いている。私はその番組を見ていないので、確かなことは分からないが、なんとなく、「ほら、女性専用車両なんか作るから、問題が起きるんだ」的な態度や「男性の目がないからマナーが悪い」という意見などを伝える姿勢には、それこそが差別のように感じる。

電車内で堂々と、そして長々とお化粧をしている女性を見たことがあるが、私は品のない女性と思った。電車内を自分の私的空間としてやりたい放題の人はいる。そういう人たちが問題を起こしているからと言って、女性専用車両を止める方向に話を進めるのは間違っていると思うがどうだろうか。

人種差別と自分勝手

CNNに、メーガンさんが叩かれるのは彼女が黒人だからである、という記事が出た。彼女は半分は白人であるが、一滴でも黒人の血が入っている人は通常、黒人、有色人種と見做される。このこと自体、差別的であることは間違いない。また、イギリスでもアメリカでもどこでも、黒人だから、というだけの理由で差別する人はいる。

だが、メーガンさんが批判されている行いのいくつか、たとえは、

環境保護を口にしながら、プライベートジェットを多用する

自分たちのプライバシーを守るためと、住居の改修に3億円以上の英国民の税金を使う

○5千万円のベビーシャワーを受け、その費用はセレブの友人に払ってもらう

衣装代が高過ぎる

などは、肌の色とは関係がないように思える。要するに、王室の一員の行いとしては賢いとは言えない。

今回、「シニアロイヤルを引退し、イギリスと北米を行ったり来たりしながら暮らし、経済的にも独立をはかる』という声明を(それこそシニアロイヤルに事前の相談なしで)出しているが、この行為も子供っぽく、自分勝手に見える。どなたかが書いておられたが、社長(女王)に決定権がある事柄を、社長に相談もせず、なんの了解もなしで、発表してしまうようなものである。

夫妻が受け取る全金額のうち、5%分の王室からの支給金は辞退するそうだが、イギリスの家は維持、95%の父親の公領からのお金を辞退するとは言っていない。警備の費用にも触れていない。爵位も手放すとは言っておらず、爵位を登録して、それで収入を得る計画らしい。この爵位の商品化は、メーガンさんが契約したアメリカのPR会社のアドバイスと言う。つまり、王族の特権を手放すつもりはないが、好きにやらせて欲しいと言っている訳だ。自由が欲しければ、特権を手放すべきではないか。

私は特に王室、皇室などのファンではないが、エリザベス女王が気の毒で、同情する。イギリスには王室ファンもいるが、モナーキー、君主制、に反対の人もいる。私は毎日BBCの記事を読むが、女王は英国民の支持無くしては、君主制が存続できないことを十分理解している、と感じる。

イギリスはEU脱退で、経済その他で深刻な問題を抱えることになる可能性も高い。王室も政府も、去年に引き続き、デコボコ道になりそうである。

ゴーン氏をアンクレットなしで保釈?

ゴーン氏の逃亡はこちらアメリカでも話題になっている。夫(アメリカ人)は、開口一番「アンクレットを付けていて、どうやって逃げ出せたんだろう?」と言った。アンクレットというのは、通常、保釈中の人や保護観察処分になった人が足首に付ける「足輪」のようなもの。GPS付きで、その人の所在が24/7警察当局に分かるようになっている。簡単には外したり壊したりできないものである。

「お金でなんでも買える人だからハイテクのハッカーみたいな人を雇って、分からないように外して家に置いてきたとか、」と私は答えたのだが、今朝、フランスの記者が書いた記事を読んで、唖然としてしまった。日本の警察はアンクレットを使っていないと言う。保釈中や移動中の人が逃げ出す事件が相次いで、警察の失態が明るみに出たけれど、海外逃亡の恐れが高い人物をアンクレットなしで保釈した「自信過剰」には、「アホか」と呆れた。

さらに二冊あるフランスのパスポートのうち、一冊をゴーン氏に持たせていたという事実にも驚いた。逃亡が発覚した後、彼の主任弁護士が「フランス、ブラジル、レバノンのパスポート三冊はこちらで預かっているので、どうやって出/入国できたのか、理解できない」とコメントした翌日、二冊目のフランスパスポートの携帯を許していたことを「失念していた」そうである。裁判所が不許可にすることもできたらしいが、裁判所はそれをしなかった。

ゴーン氏はお金持ちである。そのお金の出どころが逮捕の理由だったと思うが、15億円の保釈金はそもそも少なすぎる。没収されても彼には痛くも痒くもない額であろう。今回の日本脱出も多額のお金を使って、協力者を「買った」ことは間違いない。アンクレットをしていないのなら、お金にものを言わせて、人を丸め込んで逃亡するのはそう難しくない。警察、検察、裁判所はカビの生えた制度を見直す必要があるのではないか。

また、ゴーン氏は起訴されないまま、ずるずると百三十日も勾留されていたことを怒っているが、この点に関しては、ゴーン氏の言い分に一理ある。こちらの警察もののドキュメンタリーを見ると、一定期間の勾留中にインタビューをし、その間に起訴を支える証拠を固めるのがいかに大変であるか、強調している。100%有罪を確信していても、裁判で使える証拠が出ない限りは、止むを得ず、勾留を解く。この辺りの透明性が日本では欠如しているように感じる。これは、日本の司法制度の後進性を示していると思うし、こちらも改めるべきであろう。